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柄や文様に込められた意味を知って振袖選びをもっと楽しく

成人式の振袖は、鮮やかな色味や華やかな文様や柄で、見ているだけでも楽しいものです。未婚女性の第一正装とされる振袖は、お祝いごとやお祭りなどの「ハレの日」に着用する着物ですので、使われる柄も縁起が良いとされるものが基本となります。特に成人式の振袖の柄には、お嬢様の成人を祝い、将来は幸運に恵まれるようにという、親御様の願いが込められたモチーフが使われます。

そもそも吉祥文様ってなに?

吉祥(きっしょう)とは「吉兆(きっちょう)」の古い言葉で、「おめでたい兆し」を指し、吉祥文様は、縁起がよいとされるものをモチーフにした日本の伝統文様です。
元々は平安時代に中国から伝わり、公家の装束や装飾品に用いられたことが始まりで、江戸時代になると庶民の間にも定着し、日本独自の文様も多く生まれました。その中でも縁起が良いとされている文様が、ハレの日の着物である振袖の柄にも今日まであしらわれています。

成人式の振袖で人気の代表的な吉祥文様

桜・・新たな門出、豊かな実り

日本の国花のひとつである桜は、春を象徴する花として平安時代から愛されてきたモチーフです。桜といえばお花見を思い浮かべる人も多いでしょうが、古くはその年の豊作を願う行事でした。つまり春に咲く桜の文様は「ものごとの始まり」、転じて「新たな門出」を表すとともに「豊かな実り」への願いがこもっているといえます。

松竹梅・・長寿、繁栄、気高さ

松竹梅といえばお正月飾りか、お寿司などの和食のランクを示すというイメージがありますが、本来は格付けを示すものではありません。
松は環境に左右されない強い生命力と、樹齢の長さから「長寿」を、竹は成長が早く、どんどん新芽を出して増えることから「繁栄」を、梅は冬の終わりにどの花より先に美しく咲く「気高さ」を示しているといわれています。これら3つの願いが転じておめでたい縁起物とされた文様といわれています。

菊・・不老長寿

菊は中国から伝わったものですが、国花としてパスポートのシンボルにも使われる、日本を象徴的する花です。古くは薬草として重宝されていたことから、菊紋には「健康に長生きしてほしい」という願いが込められているといわれています。

鶴・・健康長寿

鶴は亀と並んで長寿な生き物といわれており、その優美な姿がよりおめでたいと様々なお祝いで目にする柄です。振袖にあしらわれる鶴には、長寿と健康を祈る親心がこめられているといえるでしょう。また鶴は一度つがいになると相手が生きている限りパートナーを変えないことから、夫婦円満を祈って結婚式でもよく用いられるモチーフです。

扇・・開運厄除

扇はその形が漢数字の「八」と同じようになっており、それが元で末広がりの縁起物とされているモチーフです。八の字のように下(末)に広がるように将来も開けて繁栄するようにという願いと、災厄を扇子で風をあおいで遠ざけるように、という願いも込められているといわれています。

熨斗(のし)・・多幸長寿

熨斗は、食べると長生きするとされていた縁起物のあわびを薄く切って引き伸ばして作る、ご祝儀や婚礼の引き出物に添えられていた飾りです。振袖の柄として使われる際は、長寿の縁起物である熨斗を重ねたり束ねたりする意匠が多く、多幸と長寿を祈るという意味が込められています。

鞠(まり)・・順風満帆

毬柄はこめられた祈りに多くの説がある柄です。最も多いのが、その丸い形から「何ごとも丸く収まるように」「円満な家庭を築けるように」という願いです。他にも毬を作る際に使う糸が長いことから、「良縁を結べるように」という願いや、元々貴族の遊びであった蹴鞠であったことから、品の良さを表すという意味合いもあります。

文様の意味を知れば振袖選びはもっと楽しい


今回紹介したものは代表的なものの一部で、まだ紹介しきれないほどの吉祥文様があります。実際の振袖を見てみると、いくつかの吉祥文様が組み合わされているデザインが多いことに気づくはずです。振袖選びの際は、お嬢様の願いとご家族の願い、どちらもこめられた振袖を探す楽しいかもしれませんね。
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