成人式で振袖を着るのはなぜ? その意味と由来を知ればもっと有意義で思い出深い一日に
新型コロナウイルスのせいで、2021年の成人式は中止や延期が相次ぎ、成人式を行った自治体でも細心の注意を払いながら感染防止策が行われました。いまだ新型コロナウイルスの完全な収束は見えていませんが、2022年の成人式の頃には収束して、心置きなく晴れ着を楽しみたいものですね。成人式の楽しみといえば、地元の恩師や友人達との再会、自治体によってはその地域出身の有名人の挨拶などがあります。そして女性にとっては、振袖を着られることも大きな楽しみではないでしょうか。
あれこれと見てまわるだけでも楽しい振袖ですが、そもそもなぜ成人式で着るようになったかご存知でしょうか。ここで華やかな振袖の背景にある、日本の文化としての振袖について少しご紹介したいと思います。これを機会に振袖のルーツやその魅力を知ることで、成人式がより思い出深いものになるのではないでしょうか。
人生の節目に着物を着るのはなぜか
日本では昔から子供が生まれればお宮参りから始まり、七五三、地域によっては十三参り、成人式と記念すべき日に着物を着る機会があります。現代ではその機会はずいぶん減ったとはいえ、大切な日に着物を着る風習は根強く残っています。
かつては日本人の普段着であった着物は、TPOに応じていくつかの種類があります。また今の洋服でもそうしているように色合いや柄で季節感を演出していました。こうして身だしなみとおもてなしの心を身に纏うという、日本人ならではの文化が現代にも続いているのです。
つまり日本人としての人生の節目に伝統的でフォーマルな装いをすることで、周囲の人に対して成長した自分をお披露目すると同時に、自らに対しては思いを新たにするという意味合いがあるのです。
あらためて考える着物の魅力
近年では中学2年生の家庭科の授業で、和服について指導するよう勧められており、日本の伝統的な服飾文化が見直されています。新成人となる皆さまも着物に触れる機会があったかもしれませんね。
しかし着物に袖を通したことはあっても、着物を着て外出したりした経験がある方は多くはないでしょう。そこで着物を着ることの魅力やメリットをいくつか紹介したいと思います。
品が良く見えて株が上がる
外出先でたまに着物姿の人を見かけたことはないでしょうか。その凛とした上品な雰囲気に「良家の方かな」「かっこいいな」と感じたかもしれませんね。
今では日常的に着ている人が少ない着物には、着ているだけで品が良く見えたり、華やかに見えるものです。さらに色や柄、小物をセンス良くコーディネートできれば、その人の株はよりいっそう上がるでしょう。
肌がきれいに見える
半襟(はんえり)という小物をご存知でしょうか。着物を着た時に首に一番近くに見える襟のことです。最近では白以外の色もありますが、伝統的には白がスタンダードです。本来は着物の下に着る長襦袢の襟が汚れるのを保護するための小物ですが、この半襟の白に光が反射して顔を明るくすることで、肌がきれいに見える効果があるのです。華やかな着物と美肌効果が相まって、着る人をより魅力的に演出してくれることでしょう。
どんな体型でも着こなし次第で魅力的に見える
着物はかつては寸胴体系が多かった日本人のための服で、身体のシルエットに凹凸が少ない体型に似合うとされています。つまり補正下着やタオルを詰めるなどして補正すれば、グラマーでも痩せていてもふくよかでも、着こなし次第で魅力的に見せることができます。体型にコンプレックスがあっても、誰でも美しく上品に演出してくれるのも着物の魅力です。
年齢に応じた美しさを演出できる
特に女性は、いつまでも若くありたいと願ってやまないものですが、年齢を重ねることは決して悪いことではありません。
歳を取るとともに人間的に成熟していき、若い頃には感じられなかった四季ごとの趣きや侘び寂びを感じ取れるようになり、それを着物の着こなしにさりげなく取り入れる。そんな楽しみを見つけて美しく年齢を重ねていきたいものですね。
成人式に着るのはなぜ振袖なのか
ここまでお伝えしたことで、着物の基本や魅力が少しは伝わったでしょうか。最後にお伝えするのは、いよいよ成人式の振袖についてです。
現代では若い女性の晴れ着とされる振袖は、小袖と呼ばれる子供用の着物が原型だといわれています。そして女の子用の小袖の袖は時代とともに長くなっていったのです。
そんな袖の長い子供服に目をつけたのが、江戸時代の若い女性たち。彼女らは子供服だった小袖をアレンジして、袖の長い可愛い着物を生み出し、振袖が誕生しました。そしてその流行は時代とともに少しづつ形を変えながら、日本人の文化に深く根付いていき、やがて未婚女性の正装となっていったのです。その伝統が成人式の正装として、令和の今に受け継がれているというわけなんですね。
ちなみに結婚した女性は振袖の袖を短くした、「留袖(とめそで)」と呼ばれる着物を着るようになり、明治時代には黒地のものが正装とされるようになりました。
振袖の袖が長いのは単純にファッション?
当時の女の子たちが袖が長い着物を好んだのは、可愛かったからという動機からといわれてはいますが、実はそれ以外にも長い袖には意味があります。
昔は恋愛において、女性の方から好意を積極的に伝えることは、はしたないこととされていました。そこで当時の若い女の子たちは、意中の相手に長い袖を振って見せることで恋心を伝えていたそうです。振袖が華やかで女性を美しく見せてくれるのは、そんな当時の恋愛事情にも関係しているのかもしれませんね。ちなみに「振った」「振られた」という恋愛に関する言葉がありますが、その語源は振袖からきています。
まとめ
いかがだったでしょうか。伝統文化と女の子の「かわいくなりたい」「きれいになりたい」という気持との融合で生まれた振袖。それが未婚女性の正装として定着し、現代ではまた新しい柄のデザインや色使いが生まれ、目移りしてしまうでしょう。
振袖にもトレンドがあり、人気の色や柄はすぐになくなってしまいますので、どんな振袖で成人の日を迎えるのか、なるべく早く決めておいたほうがいいでしょう。
そして成人式という人生の大きな節目を日本の美しい着物で、おしゃれにかわいく飾っちゃいましょう!